<その53>ひとりでいること

なんか年くってくると時間が進むのがめっぽう早い。
人に「あれ何時だっけ?」と聞かれて、「こないだだよ」と答えてみたけど、その「こないだ」が10年前だったりして失笑をかう事多発だもん。

結婚して離婚して店出して…までは、時にフィットした生活を送っていたが、人間50を過ぎると自分の歳は分かんなくなるは、いろんな事がどうでもよくなってくるわで、ファンキー度上昇したまま明日への思惑が消え、たった今の欲望だけが生きがいになってしまう結果、なんとも子供じみてくる。

今の たった今の快楽が一番というはめに。

ろくな金儲けも出来ないから、快楽といってもみみっちいもんしか思い浮かばないのが哀しいが、それなりにある。
好きな女の子には素直に「好き!」と言おう(笑)とか、どうせ死ぬなら出来る範囲で最高のオーディオアンプを買おうとか…。
要するに、もう後悔したくない。
後悔してるうちに時はズンズン進んでいってしまう。
あれが本当は欲しいが無理なので、なんとかしようと代用可能なモノを自作するっていう人生をひたすら歩いてきたような気がする。

自分で動いてやってしまおう!の精神が支えてた。

自作する事に意味はあるけど、目指すホンモノにお目にかかれるとは限らない事にやっと気がつくのに50年かかった。
結果ではなく、その過程で発見する多くの技術・感動の美しさ。
しかしそれはあくまでもホンモノではなく、その代用からの結果である。

他の人なら、中学生でもわかるような常識が、私50年かかったんです。
じゃあホンモノってなんだ?
っていう疑問は人生に不要。それにひっかかると後悔ばかりでつまんない男になってしまうから。
10代でさんざん悩む後、ケリつけてきたはずだから、50過ぎのオッサンは素直に今を生きなくちゃ。

若い音楽で「今を生きよう!」なんて30年早いぜ。今を上手に生きられないのが若者ってもんさ。
60に向かって、やっと『今を生きる』特権を得た、と勘違いさせてくれ。

2009/4/9

 

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